親の愛情、親の力量

子育てには愛情が必要だ。だが、それだけでは足りない。親が子どもを一人前の人間として送り出すためには、その方法を知らなくてはならない。実は、そのことに気づいている親は少ない。

 

 

愛情に溢れた親の姿は多く見てきた。そこでわかったのは、愛情があることと、子どもが「確固たる個」を持った人間として成長するかどうかは別の話だということだ。特に、これだけ情報が氾濫している時代にあっては、しっかりした「子育てスキル」を持っていないと、親の見栄をくすぐる話に流されてしまう。

 

 

親の愛情と「親としての力量」はちがう。それは認識しておくべきだろう。子育てのスキルとは、その力量のことでもある。

 

 

親としての子育ての力量を計るのはたやすい。子どもに対する叱り方を見ればすぐにわかる。何に対して、どのように叱るのか。そこに親の世界が如実に反映されるからだ。

 

 

叱るというのは制約であり、修正である。子どもは「逸脱する自分」を自分で修正できないため、その役割を親に頼るしかない。しかし、叱られるというのは自分の言動を制約されることなので、自由を求める子どもにとっては苦痛この上ない。だからこそ、叱る時は周囲の目を気にせずに、真剣に叱った方がよい。

 

 

卑怯なことはしない。友達を裏切らない。人の嫌がることはしない。そういった人間として本当にしてはいけないことを日頃から厳しく教え込み、それを破った時に徹底的に叱る。頭は冷静に、心は熱く叱る。しかし、それ以外の些細なことは口うるさく言わない。

 

 

叱ることの線引きをシンプルに線引きして、これだけは人間としてやってはいけないと教える方が、自分がやってもいいことを予測できるので、伸び伸びと育つ。

 

 

一番良くないのは感情に任せて子どもを細々と叱ることだ。それは子どもを萎縮させる。親の顔色を伺うようになった子どもの世界は小さくなる。

 

 

とは言え、人を叱るというのは本当に難しい。

 

 

(了)