To the mentors of the future

不透明な時代を生きるための透明な自己肯定感を得る

一番手の人々は受験と勉強をこう考える

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つい先日、旧知の予備校講師と会って話をする機会に恵まれた。彼は大手出版社から何冊かの問題集を出版しており、全国区の数学講師として認知されている。私が自信を持って薦めることができる数少ない一番手の講師のひとりだ。

 

 

わかりやすい授業や講義は予備校講師や塾講師の必要条件だが、教育と受験の本質を把握し、その核心を突くことができる講師は少ない。高いレベルの授業スキルを持ちながら、本質を見抜く見識に欠けた「二番手や三番手」に留まる講師を多く目にしてきた。

 

 

2020年1月をもってセンターテストは廃止され、翌年から「大学入学共通テスト」が導入される。この新テストに戦々恐々としている学校や受験関係者は多い。実際はどんなテスト形式になろうとも、学びという「立体」の本質には何ら変わりはなく、センターテストという「立体」のある側面が、新テストは異なる側面に変わるだけに過ぎない。

 

 

前述の予備校講師の彼は、日本の最難関校の一つに数えられる高校教師と新テストついて意見交換をしたという。その高校教師は彼に次のように語った。

 

 

「センターから新テストに変わっても、基礎を固めるという本質は同じですよね。制度が変わってあたふた動じるのは、二番手や三番手の高校の教員です」

 

 

入試制度の変更に「二番手や三番手」の教師が動じてしまうのは、パターンマッチングの授業を行っているためだ。パターンマッチングとは類似の問題を大量に解かせることによって出題パターンに慣れさせ、それによって得点力を高める方法を指すのだが、近年はこの手法を傾倒する「二番手と三番手」の高校や予備校や塾が主流派として増加している。センターテストから新テストに移行することでパターンが読めなくなり、彼らの「命綱」である新しいパターンの問題が用意できずに動揺している。

 

 

前出の予備校講師は有名進学高の中にも数学のチャート式の例題をひたすら解かせるだけの授業をくり返す教員が存在することを嘆いていた。学校が塾や予備校を追従することによって、更にパターンマッチングは広がる。

 

 

定理や原理原則の本質的な解説どころか、基礎知識の導入すらせずに大量の課題を出す学校は珍しくなくなった。教師や講師の側に定理や原理原則を教え切る一番手の力がないと言えばそれまでだが、三番手でも授業の体裁を繕えることができるという意味でもパターンマッチングは都合がよい。

 

 

受験はゲームのようなもので、塾や予備校の授業を「攻略法」の購入と捉えている消費者に対しては、パターンマッチングの訴求効果は高い。予備校や塾の側も、家庭のそのようなニーズを嗅ぎ取って、あたかも独自の「攻略法」があるように匂わせる。

 

 

しかし、力のある家庭や生徒ほど基礎の重要性を口にする。数学にせよ、英語にせよ、他の科目にせよ、基礎という言葉の本当の意味を知っている。パターンの数を増やし、それを格納する引き出しの数を増設しても、そこに存在しない出題されてしまえば手も足も出ない。しかし、あらゆる問題に通脈する基礎という「立体」を自分のものにしてしまえば、その立体のある側面に対応したあらゆる問題に対応できる。

 

 

基礎に関して、彼は興味深いエピソードを話してくれた。

 

 

あるとき、東京の大手予備校の講習会で授業する彼のもとに、ひとりの生徒が訪れた。その生徒は首都圏の最難関大に多数の合格者を輩出する有名予備校に通っていたが、成績が伸びずに悩んでいたという。その予備校は質量とも高いレベルのパターンマッチング型の授業を提供することでも知られていた。

 

 

その生徒は彼の噂を聞きつけて講習会を受けた。彼女は定理の基礎と数学の本質に踏み込んだ彼の授業を受けたあと、講師室にいる彼のもとを訪れてぽろぽろ泣き出したという。基礎を知らずに数学を学んできたことに対する悔しさからの涙だった。

 

 

パターンマッチングの「攻略法」を探し続ける消費者が増え、その本流の勢いが強まれば強まるほど、「基礎と演習」という傍流の受験生はますます有利になる。主流派の消費者は、その構造に気がついていない。

 

 

あらゆる物事には本質が眠っている。もちろん受験や勉強も例外ではない。本質こそが「基礎」である。受験も勉強も人生の一部であり、人生そのものでもある。偏差値や成績と人格に相関関係は存在しない。むしろ、成績が良い生徒や子どもを無条件で賞賛するという態度こそ、人間性はもとより、本質への理解が推し量れる。彼らは人生の本質を掘り下げることをしてこなかったのだろう。

 

 

受験を含め、取り組んでいる全てのことは「基礎」という本質を含んでいる。それは人生の本質と全く同じ立体の形をしている。そういう知性を磨き上げる経験として受験に取り組んでいる一番手の人々もいる。単に合格すればいいと考えている即物的な人と、受験もまた人生の経験と考えている人がその先目にする風景はまるでちがう。「豊かさ」とはその風景そのものであるという認識もまた、人生の本質である。

 

 

 

 

 

 

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