To the mentors of the future

不透明な時代を生きるための透明な自己肯定感を得る

反抗期の話

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小学生から中学生にあがる頃、反抗期が始まる。親とのいざこざが増えて、その不満を聞くという私の役割がひとつ増える。

 

 

それは今に始まったことではない。三十年近くに渡り、同じ光景がくり返されてきた。中高生だった生徒が親になり、その子どもを教えるようになった今、やがてその子どもも同じように親に対する不満を吐露するだろう。心のどこかでその日を待ちわびている。

 

 

「先生の反抗期はどうだったんですか?」

 

 

勉強以外では三番手に多い質問だろうか。一番多いのは「これまで何人に告られたことがあるか」だと思う。恋愛話が好きなのは、今も昔も変わりない。生徒が好きな人を打ち明けてくれるとき、その成長に人知れず高揚する。

 

 

反抗期はなかったことを告げると、生徒は戸惑いの表情を浮かべる。それが文字通り「未経験」の意味だと理解した生徒は驚きで身を乗り出し、授業よりもずっと饒舌に質問を繰り出す。

 

 

私は多くの大人に接する機会に恵まれて育った。そのせいか、早い時期から「大人の中での自分」を意識するようになった。集団の中の自分を別の自分が見ているというメタ認知を、幼少の頃から無意識で行っていたように思う。

 

 

それは親と自分の関係にも当てはまった。子どもの反抗というのは親にとって理不尽な言動に映る。親から自我を持つ一人前の人間として扱われることを渇望するのが反抗の主要な動機だが、反抗を重ねることで結果として子ども扱いされる道を選択してしまっている。

 

 

一人前の人間として家庭の中で発言力を高めたいと思いながら、反抗期という名のもとに親とのコミュニケーションを放棄するというのは矛盾している。そう考えていた。

 

 

感情に任せてコミュニケーションを放棄する。それは親という他者に自分の機嫌を取らせ、歩み寄らせることを意味する。それは稚拙で恥ずかしい行為のように思えた。近親者である親に一目置かれずして、他者の信用を得ることはできるのだろうかと自問した。

 

 

「幸福論」の著者であるフランスの哲学者アランは「悲観は感情であり、楽観は理性である」という有名な格言を残したと後に知ったが、私は多くの大人を目の当たりにして、感情に左右されて生きる人生の貧しさと理性で自分を律して生きる人生の豊かさを早々に知った。

 

 

感情による支配から抜け出して理性を獲得し、それを身体に染み込ませる。その到達度ごとに人間は階層化され、感情に支配された貧しい人生から、理性によって現実から幸福を抽出する豊かな人生へとグラデーションのように続いていることも十代で認識した。

 

 

人間の言動は体験と感情と理性を告白する。仮にグラデーションに区切りをつけ、到達度ごとに10のステージに分類すると、4の人は次に5に向かい、7の人は次に8に向かう。ステージごとに類型化された人間の特徴がある。そこに当人固有の特徴が加わる。その特徴は克服すべき壁となってそびえ、それを乗り越えた者が次のステージに上れる。

 

 

それは構造的に数学や英語の問題と同じである。基礎を理解して、解けない問題を減らすよう努める。しかし、人の時間と体験は有限であるため、「勉強時間」を増やすことはできない。基礎を理解し、身体に染み込ませ、それを体験に応用して解決することになる。

 

 

それぞれの問題点を見つけ、それを解決するために自分が変化することで、そのステージから抜け出す。成長とはその連続を意味する。成長のない人生は魅力がない。人を惹き付ける小説や映画やドキュメントのような「物語」は、人間の成長がテーマになっている。成長なき物語に価値を見出す者はいない。

 

 

人は成長に価値を見出す。これはどんな時代も変わらない普遍的な価値だ。それは狡猾で老獪な世間知を得ることではない。洗練された理性を身体中に染み込ませることをいう。頭だけでは洗練とは呼べない。身体知と暗黙知まで染み込むことで、洗練と呼べる状態に達する。

 

 

会うだけで高揚感を与えてくれる人がいる。長い時間をかけて洗練された理性を身体全体に染み込ませた人がそうだ。その言葉にも格言のように洗練された理性が染み込んでいる。それは検索できる情報や常識とは違い、決して時間に風化しない。

 

 

 

 

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◯演題 

 

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