To the mentors of the future

不透明な時代の生き方を探すライフコーチング

今しかできない

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世界にとって第二次世界大戦以来の最大の試練。

 

 

グテーレス国連事務総長の警告から一週間。7都府県に緊急事態宣言が発令された。

 

 

テーブルの上に世界という天秤が置かれている。その天秤が大きく揺れている。静謐だったはずの日常は、わずか2ヶ月のうちに瞬く間に姿を消した。

 

 

震災で激しく動いた天秤の上皿は、平穏な日常の到来と引き換えに、いつしか錆びつくほどに固定化していたのを思い知らされた。その錆がこそげ、剥がれ落ちる音がする。

 

 

今、誰も経験したことのない揺れが、天秤の上で営みを続けてきた人々を揺さぶっている。天秤の上で生まれ、その上で育ってきた人々に、天秤は揺れるものだと誰かが教えているようだ。

 

 

震災とは違う円を描くような大きな揺れによって、天秤の位置が動いている。広いテーブルなのか、狭いテーブルなのかわからない。ただ、元の位置には戻れないことを、多くの人が直感的に気づいている。

 

 

天秤は揺れる。それをブラックスワンと呼ぶ人もいれば、自然の摂理と呼ぶ人もいる。文明の変化と捉える人もいるだろう。この事態に向き合うことができるならば、どんな認識でも構わない。天秤は揺れることを、次の世代に伝える必要がある。

 

 

文字や映像に表れないこの揺れを、ひとりひとりが身体に覚えこませ、経験の箱にしまいこむ。いつ終わるとも知れない不快な揺れ、正反対の意見が飛び交う不協和音、自由を奪われた時間。

 

 

静謐な日常が失われたとしても、人とつながり、平時の習慣をなぞることによって自分の中に静謐さを生み出すことができる。この揺れ以上に揺れているのは自分自身かもしれないという認識。震災がそうであったように、現実を通じて自分自身と向き合う人とそうでない人の格差が広がっていく。

 

 

やがて、震災もコロナショックも知らない幼い子どもたちが天秤の上皿の中心に立つ日がやってくる。さらに大きな揺れが訪れるかもしれない。そのときのために、今の大人はこの揺れを身体に覚えこませ、それを語り伝える義務がある。自己責任という言葉をしまいこみ、血縁の隔てなく、温かい眼差しと言葉を次の世代に向ける度量が欲しい。

 

 

いずれ誰もが上皿から去る日が来る。天秤の揺れはどうにもならないとしても、心の揺れを和らげる方法を見つけ、自分の言葉で次の世代に伝えることはできる。どんなときでも、自分自身であることを楽しむ方法を。

 

 

それは今しかできないことかもしれない。

 

 

 

(了)