To the mentors of the future

全世代の「教育力」を高める教育コーチのブログ

2013-01-01から1年間の記事一覧

受験生が知るべきたった一つのこと

今年も間もなく終わる。だが、受験生にとっては、何も終わらない。 年明けから次々と始まる受験に、ひとつの結果が出るまでは、何も終わらない。 合格か不合格か。それが分かるまで、何も終わらない。 合格可能性を高める。受験で度々用いられる表現だ。そこ…

大人と子どもの共通点を知ると子育てがうまくいく

相手を理解するには、その違いと共通点を認識するのが手っ取り早い。 大人と子どもの違いは何か。それはいくらでも挙げられるだろう。 それでは、大人と子どもの共通点は何か。 それは「未熟さ」である。 大人も子どもも、ともに未熟である。未熟さの質が異…

聡明な人ほど叱られ方がうまい

上手な叱り方。 最近、そんなフレーズを目にする機会が増えた。確かに、叱り方ひとつで、人の伸びしろは引き出される。 自分の正しさを一方的に押し付けたり、感情的に怒鳴るのは「叱る」ことではない。相手の未来を考えて、強く諭すこと。それが「叱る」こ…

先が見えないときにすべきこと

先が見えない時がある。 手応えのない毎日。今日が繋がる日が見えない。茫漠とした日々が、いたずらに過ぎてゆくように感じる。 勉強・仕事・恋愛・結婚・子育て。この状況を打開したいと思う。何か特別な方法を知りたくなる。 この世界のどこかにもっと効果…

一流は本当の「得」を知っている

損か得か。 広い意味でも狭い意味でも、人は損得で物事を判断する。それは昔から変わりはない。 人間関係ひとつをとってもそうだ。ある人との付き合いが、自分にとって有益であるか否かで判断する。トラブルを招く人間関係を自ずと避けるのは、「損得」の判…

100%を求める人ほど失敗する

例えば、100の力を出さないといけない状況があるとしよう。仕事でも勉強でも構わない。どうすればいいだろう。 「簡単なことさ。100の力を身につければいいだけだ」 確かにそれは正論に聞こえるかもしれない。しかし、現実はそれを許さないだろう。なぜなら…

「人を育てる才能」の簡単な見分けかた

プロセスを見ない人がいる。 発展途上の相手であっても、結果だけで判断する人がいる。これが上下関係の「上」の人間であった場合、「下」の人間の成長は止まる。少なくとも、「上」の人間によって育てられることはない。 上司に対する部下。親に対する子ど…

時を加速させる(10)〜貫くための変化〜

(前号からのつづき) 受験に象徴されるような学習戦略をデザインするには、対照的な二つの視点を持ち合わせる必要がある。 主観と客観。ミクロとマクロ。遠視と近視。過去と未来。 両極端の視点をバランス良く自分の中に抱える。片方の視点で見えたことを、…

時を加速させる(9)〜戦略的デザイン〜

(前号からのつづき) 四つの視点のうち、最後はストラテジック(strategic)な視点について書きたい。 ストラテジックとは「戦略的」という意味である。勉強、特に受験においては戦略的な視点は欠かせない。 戦略的視点とは監督の視点とも言えるだろう。現…

時を加速させる(8)〜人として一流〜

(前号からのつづき) プラクティカルな知識とは、実用的な知識である。それは「実人生に役立つ」知識であり、「自分の人生を自分のものにするために役立つ」知識を指す。 知識は様々なカテゴリに分類されうる。一般常識もあれば、仕事に必要な専門分野の知…

時を加速させる(7)〜無駄な知識〜

(前号からのつづき) アカデミックな知識は「無数の世界」の存在を実感させる。次は、そこに散らばる知識をプラクティカル(practical)に変える必要がある。「学力」にはそのプロセスも含まれる。 プラクティカルとは「実用的」と訳される。それは「実人生…

時を加速させる(6)〜インスパイアと無数の世界〜

(前号からのつづき) 良い授業は良書である。良書が伝えるのは情報ではない。良書は厚みのある行間を伴い、読み手をインスパイアする。 インスパイア[inspire]は「鼓舞する」「吹き込む」と訳されるが、完全に一致する日本語はない。インスパイアの名詞形…

時を加速させる(5)〜良書と行間〜

(前号からのつづき) キリンの外形だけを知っている子どもが作った粘土像と、キリンの構造や生態までも知っている子どもが作った粘土像にいかなる違いがあるのだろうか。 全体像を知っている人間がその中から選んで伝えることと、それしか知らない人間がそ…

時を加速させる(4)〜キリンの粘土像〜

(前号からのつづき) キリンを知らない子どもが「キリンの粘土像」を作る場面を想像して欲しい。 その子どもはキリンのことを知らないので、誰かにキリンのことを教わる必要がある。そこで「キリンのことを教える人」が「キリンのことを知らない子ども」の…

時を加速させる(3)〜シーソーと時間〜

(前号からのつづき) バランスはシーソーと同じで支点がある。家庭でバランスを取る体制になっていたとしても、その支点をどこに置くかで子育ては変わってくる。ここで初めて、子育てを運用する哲学から、子育ての内容の哲学へとシフトする。 例えば、困っ…

時を加速させる(2)〜監督とコーチと子育て〜

(前号からのつづき) 最初は哲学的(philosophical)な視点について書いてみたい。 子育ては親の哲学ありき。哲学なき教育は「単なる訓練」であり、哲学なき受験は「単なる競争」に過ぎない。 「単なる訓練」と「単なる競争」は場当たり的な結果だけを求め…

時を加速させる(1)〜4つの視点〜

授業とは、ある意味「時を加速させる」特殊な時空間と言えるかもしれない。 その時空間で、先生と生徒という関係性に基づき、生徒が先生から学ぶ。その関係が成立しなければ、授業とは呼べない。 学ぶとは「知らないことを知る」ことだ。先生と生徒という関…

成功体験の罠

成功の壁となるのは、過去の成功体験であることが多い。 私が会社を経営していた頃、何度かこの「成功体験の罠」に陥った。一度上手くいったやり方にしがみついてしまい、同じ方法を採ってしまうのだ。 ある方法の考え方が正しいからと言って、必ずしも通用…

食育に学ぶ

「食育」が叫ばれて久しい。 食育・食生活指針の情報センターによれば、食育とは「国民一人一人が、生涯を通じた健全な食生活の実現、食文化の継承、健康の確保等が図れるよう、自らの食について考える習慣や食に関する様々な知識と食を選択する判断力を楽し…

自己中という限界

一方的に自分の意見を押し付ける人がいる。相手の話に耳を傾けない。ただ自分の考えを言う。 考えを変えるのは自分の体験によってのみ。自分の体験を通じて、信じるものと信じないものをふるいにかけ、自分の考えにすると決定する。 私はこの行動様式を知っ…

いろんな赤

またひとつ、新しい年度を迎える。 新学年、進学、新社会人。新しい環境で、新しい一歩を踏み出す時期だ。 今、手持ちの言葉はどれくらいあるか確認しておこう。単なる情報を伝えるための言葉ではない。人の心に届く言葉の数だ。 厚みがある言葉だけが、人の…

ゆとり世代の新入社員を迎えるにあたって(2)

(前号の続き) 無知を責めるのは、未熟さを責めるのと同じことだ。未熟なものをつかまえて、熟してないことを批判する。それは青いリンゴをかじって熟していないと文句をいうのと変わりはない。 自分のやり方が正しい。自分のやり方が絶対だ。 仕事に慣れて…

ゆとり世代の新入社員を迎えるにあたって(1)

早いもので間もなく年度が変わる。新たに社会人として入社式を迎える人も多いだろう。 ゆとり教育を受けてきた彼らは、「ゆとり世代」呼ばれている。上司や同僚は、この新卒社会人と机を並べることになる。 ゆとり世代が社会に出るのは今年が最初ではない。…

誉めて伸ばす?叱って伸ばす?

「子どもの力を伸ばすには、優しく誉めた方がいいのでしょうか。それとも、厳しく叱った方がいいのでしょうか」 そういう質問を受けることがある。親に限ったことではなく、教育関係者からも同じようなことを尋ねられる。 誉めるか叱るか。子どもへの接し方…

相手の心のロックを解除するために大切なこと

素直な子どもは伸びる。 それは昔から言われてきたことではある。裏返せば、「素直でない子どもは伸びない」ことを意味する。 素直でない。それは心にロックをかけている状態だ。周囲の言葉は耳に入っても心には届いていない。そのロックを解除しなければ、…

イフ

「子どもと接する時に、一番気をつけることは何でしょうか」 若い母親からこう言った質問を受けることがある。その時に、私は次のように答えることがある。 「子どもと言えども人間です。心のどこかで畏怖の念を抱きながら接してください」 畏怖。辞書には「…