一次関数の傾きは、二点を直線でつないで求める。
傾きと切片が分かれば、一次関数の式は出る。
人の歩みは一次関数そのものだ。
一年前の自分の座標と、現在の自分の座標の二点を直線で結んでみる。
それが自分の「傾き」だ。
自分の力ではどうしようもない環境や、生まれながらの資質は、「切片」と呼べるかもしれない。
原点から始まる人もいれば、切片が20の人もいるだろう。それを不平等と嘆くか、跳ね返そうと挑むか。それは人それぞれだ。
自分の式を求めたら、未来の自分の位置がわかる。
時間を表すXに、知りたい未来の時間を代入してみるといい。Yの値が自分の未来の位置だ。
自分の一次関数は、正確に未来の位置をはじき出す。手をこまねいて過ごす毎日は、その位置へと直線でつながっている。
自分の式を変えるには、傾きを変えるしかない。
何かを待っていても、切片に不平をこぼしても、何も変わらない。
現在は、過去になる。一年後の未来は、一年後には現在になる。
一年後の未来を変えることで、「傾き」は変わる。自分の一次関数は変わる。
そうやって傾きを変え、自分の式を変えてきた人が、Y軸を限りなく上って行った。
人の歩みは一次関数そのものだ。(了)