【質問】
今まで一番印象に残っている母親の子育てエピソードを教えてください。
【回答】
そうですね。ひとつに絞るのは難しいのですが、ぱっと思いついたものを書いてみます。
言語能力が非常に高い小学生男子を教えていたことがあります。頭の回転が早くて、表現力と説明能力がずば抜けて高い男の子でした。しかも、頭の高速回転に口数もついてくるので、黒柳徹子さん級。
このタイプの女子生徒は何人かいましたが、男子はその子だけでした。当然のように、誰もが知る首都圏の有名中学に合格を果たしました。
その生徒の母親によると、生まれてから抱っこできる時間はずっと絵本を読み聞かせていたとのこと。外に出かけるときも同じだったらしいので、絵本を暗記していたのでしょう。
それほどの言語能力だったので知識も博学でした。子ども百科事典からひとりでどんどん知識を吸収するタイプですね。
その生徒は何にでも興味を示したのですが、ふとある日、昆虫に対してはあまり興味を示さないことに気がつきました。
活発な小学生男子は決まって昆虫や恐竜が好き。そんな方程式のままの男の子で、カブトムシやセミやトンボをかたっぱしから捕獲してはしゃいでいると思っていたので意外な感じを受けました。
そこで昆虫に興味がない理由を尋ねてみました。するといつものようにカンマ数秒で「お母さんが虫嫌いだったから」という返答。思わず声を上げて笑ったのを覚えています。
虫が嫌いという女の子のような可愛げと、対照的なかいがいしい忍耐強さ。その背反的な感性が「母親の偉大さ」であると改めて気づかされ、脱帽の笑みが込み上げてきたのだと思います。
誤解を恐れずに言えば、母親の子育てと父親の子育ての違いは「必死さ」にあると思っています。母親の「必死さ」は父親の必死さとは次元が違う感じがしています。
健気さとひたむきさが織り込まれた「必死さ」とでも言うのでしょうか。その母親の偉大さの前では、男性の小さな論理はさらに小さくなるものです。
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