どんな経験にもネガティヴな面とポジティブな面が含まれています。
たとえば、受験の結果が不合格だったとしましょう。それを知ったときは、どうしてもネガティヴな感情が湧き起こります。一生懸命頑張ってきたのならなおさらのこと。その事実を受け入れるのに時間がかかります。
しかし人によっては、その不合格という体験からポジティヴな教訓を得て、その後の人生に活かすことがあります。「不合格でよかった!」と心から思えるほど、ネガティブな経験をポジティヴな認識に反転できる人がいます。
その逆も然り。不合格を人生の終わりだと塞ぎ込み、自分のネガティヴを増幅させて、立ち直れないほど病んでしまう人もいます。点のようなネガティヴな経験を、過去・現在・未来と瞬く間に線につなぎ、「どうせ自分は何をやってもうまくいかない」という負の念に手足を縛られ、周囲をネガティヴに巻き込んでしまう。
松下幸之助は、人生最大の幸運を幼少期の貧しかった境遇だと答えています。もちろん、松下幸之助といえどもその当時から貧しさを喜んでいたわけではないでしょう。人間的成熟を遂げ、自分の人生を俯瞰して得た教訓なのだと思います。
ネガティブな経験をポジティヴな認識に反転できるかどうかは、その人の成熟度しだいです。
なげやりにならない。あきらめない。自分はどうせ自己肯定感が低いからという言葉に逃げない。成熟に必要な「自己時間」を自分の手で止めないように。
ーー今の自分の成熟度だからネガティヴだと感じているだけかもしれない。もし、成熟を続ければ、ポジティヴなことだと思える日が来るかもしれない。
「希望」というのはそういうことではないでしょうか。今はオセロの黒ばかりが目立つ毎日だとしても、成熟をきっかけとして次々と黒が白に反転し、形勢が逆転する日が訪れるかもしれない。
現実は鏡。自分を映す鏡です。現実を変えるには、自分を変える以外に方法はありません。
(了)