【質問】
「子育て成功体験記をたくさん読めば、子育てはうまくいきますか?」
【回答】
「子育て成功体験記」は巷に溢れていますが、読み物程度の感覚で接するのがいいでしょう。筆者の子どもに合った子育て方法であったとしても、読者の子どもに合った方法とは限らないからです。
同じ子育て方法をしても、兄弟姉妹で全く違った成長をたどります。双子でもそうです。それほど子どもは生まれながらに多様な個性を持っています。
子育てがうまくいった。思い通りに運んだ。
それは結果論に近い部分が多く、子どもとの相性や状況に大きく左右されます。
子育てや教育はとても個別的で、それを細部まで一般化しようとすると、「黄金の子育てマニュアル」感が生じてしまいます。それを読んだ読者は我が子にそのやり方を当てはめてしまい、うまくいかないと自分や我が子を責めてしまう。「子育ての成功体験記」の読み方によっては、そのようなネガティヴな状況の温床のリスクが潜んでいます。
その結果、親としての自分の自己肯定感を低め、子どもの自己肯定感も低める。これはとても不幸なことです。
子育てや教育のキーワードは「最適化」です。我が子に合っているかどうか。ある意味、それがすべてです。
子育てについて熱心に勉強している親がうまくいっているかといえば、そういうわけではありません。むしろ、「どこかに子育ての正解があるのではないか」という気持ちがある分、悩みも迷いも深いように思います。
わたしは三十年近くにわたって、たくさんの親子関係を見てきました。その経験によって教わったのは、「親子だから相性が合うはず」という感覚は幻想に近く、親も子ども多様で個別的な別々な人間であるという事実です。
「もしこの生徒があの親の子どもだったら」という想像を掻き立てられることもしばしばです。相性が良い生徒や親の顔が自然と浮かんでしまいます。その親が子育てしやすい相性の子どもが我が子とは限らない。親子関係の不思議さですね。そこに何かの意味があると考えると、また違った子育ての見方ができるのかなと思います。
「子育ての成功体験記」よりも「失敗体験記」の方が参考になります。というのも、失敗の方がずっと普遍的だからです。
たとえば「親の考えを押し付ける」というのは子育ての失敗の最たる例です。それによって子どもの中に受動的な心理が形成され、人生の多くの場面で不利益が生じるというのは学識的な知見の通り。
自分も子どもも、誰も責めない。
難しいかもしれませんが、心にとめておいて頂ければと思います。
(了)
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