【質問】
「子どもへの『怒り方』を教えてください」
【回答】
ご質問ありがとうございます。
喜怒哀楽は人間の基本的な感情ですから、怒りを取り除くことはできないと思います。特別な修行によってできる方もいらっしゃるかもしれませんが、例外です。
そうすると、怒りをコントロールする方法しか残されていません。アンガーマネジメントと呼ばれる方法です。
怒りを原動力にするという考え方があります。怒りという強い感情を動機へと変えて自分を動かすという方法ですが、これは長続きしません。怒りという感情は生命を脅かすほど強い感情なので、忘れるようにできています。
怒りとはそれほど衝動的で爆発的な感情であることを認識してください。しかし、前述の通り、その爆発を防ぐことは現実的には不可能です。
しかし、「子どもの前で」怒ることと、「子どもに」怒ることは違います。前者は「感情の爆発」ですが、後者は「感情の狙撃」です。
衝動的な怒りという弾丸を込めて、子どもを狙い撃ちにする。これを「子どもを責める」と呼びます。
とは言っても、思わず一言二言、責めるような口調になることは誰にでもあります。「言葉の弾丸」で子どもを責めることがあったとしても、それが小さくて数が少なく、また適切なフォローがあれば、子どもは自己治癒力で回復します。
しかし、追い込むまで子どもを責めてしまうと、その弾丸の大きさと数の多さから、「閉じない穴」が心に開いてしまいます。子どもが決定的に萎縮してしまうときです。
萎縮は子どもの可能性や資質を全て暗い箱に閉じ込めます。
これは子どもに限ったことではありません。人が関わるあらゆるコミュニティで見られることです。「追い込むまで相手を責める」ことはコミュニケーションと問題解決の放棄。人間関係とコミュニティは思っている以上にたやすく壊れます。
大人であろうと子どもであろうと、追い詰められるまで責められた相手の自己肯定感は低下します。自己肯定感を奪われた人々は、あらゆる制約を背負って未来に放り出されます。
こうした「怒りの負の影響力の大きさ」を認識することによって、子どもに怒る自分を客観的に見つめることができ、怒り方の選択肢を広げるきっかけとなります。
(了)
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