To the mentors of the future

全世代の「教育力」を高める教育コーチのブログ

Starting from one on one relationship

 

組織というと何十人、何百人という大人数を想像しがちです。しかし、ある目的や役割を持った複数の人々の結びつきも組織に数えられます。そこには学校のクラスはもちろん、サークルや部活、家族も含まれます。夫婦ふたりであっても変わりません。

 


リーダーとして組織やチームのまとめ方がわからないという相談をしばしば受けますが、そのような相談者の大半の方からは「多くの人数を思い通りに動かす方法がどこかにあるのではないか」という思いが透けて見えます。

 


いかなる人間関係も始まりは1 on 1の関係です。双方が目的や役割に基づいて同盟関係のような関係性が生じる場合、多かれ少なかれ成長が義務づけられます。組織内で成長する者としない者に別れる場合、どちらかが組織を「離脱」せざるを得なくなります。

 

 

仮に全員が成長を志向したとしても、その意識に埋め難い温度差があり、または成長速度が著しく異なる際にも「離脱」が待っています。

 


「離脱」を回避する方法は二つしかありません。ひとつは組織の構成員全員が成長を放棄する。もうひとつは、組織の構成員全員が同じ歩調で成長する。このどちらかです。

 


前者の場合、構成員の離脱はありませんが、組織の目的を果たすことは困難になるでしょう。そればかりか、問題解決の機能が著しく損なわれ、組織の存立を脅かすような巨大な問題にすら直前まで気づかなくなります。

 


そのような組織の構成員は、人間関係がマイナスにならないように気を配り、バランスのシーソーが傾かないようにと日々構成員の言動に敏感になり、現状維持のために神経を使います。

 


組織が健全に発展し、個々の構成員が能力を存分に発揮できるような心理的安全が確保された環境を作り出すためにはお互いの理解がどうしても必要になるのですが、理解不足によって成長に繋がる建設的な歩み寄りができないのです。

 


相手を理解しようとすれば、相手と向き合わなくてはなりません。それは相手の「物語」を読解することであり、その読解力を高め、共感力を洗練させるため、自分自身と向き合うことへ繋がります。

 


そうやって相手を深く理解するすることができるようになるにつれ、「共感しなければ」という作為は消え、自然体で相手に共感するようになります。成長を意識しなくても、たおやかに成長と遂げていくのです。

 


それは相手が増えても変わりません。どんなに大きな組織でも、あらゆる人間関係は1 on 1だと気づいたとき、メンターとしての資質が芽生え、リーダーシップの資格が生じます。

 


リーダーやメンターを役割と考え、その役割を演じているうちは、自分の期待ほど部下やメンバーから慕われていないことに気づきます。

 


役割を演じると、家庭や職場で見せる顔が違ってきます。それは人を見て態度を変えることであり、公明正大さに反しています。リーダーやメンターとして自分を大きく見せようとする不自然さが、相手の無意識に不信感を植えつけます。

 


それは普段優しい態度の人が、飲食店の店員に横柄な態度をするときと似ています。相手の人間的未熟さと裏表のある人間性を同時に目の当たりにすると、裏切りのような感情が芽生えます。それは自分自身にも向けられる可能性があるため、相手は心を開くことができなくなるのです。

 


(続く)