読解力は大きく3つに分類できると考えています。ひとつは「勉強に必要な読解力」です。国語や数学の文章題を読み解く力と言い換えることもできます。ここには社会の資料や理科の実験のイラストも含まれます。
二つ目は「生活に必要な読解力」です。新聞やネット記事、薬の添付文書や電化製品の取り扱い説明書や生命保険のパンフレットなどのほか、雇用契約書や仕事の書類など生活を送る上で必要な読解力です。これはさらに「日常生活に必要な読解力」と「社会生活に必要な読解力」に分けることもできます。
「社会生活に必要な読解力」は、それを活用する力も含みます。読解力を首尾よく活用できるようになると、いわゆる「リテラシーが高い」と呼ばれる状態になります。
読解力とは「物事や事象を的確に認識する力」ともいえます。勉強、日常生活、社会生活と認識の対象が拡大されるにつれて、高い読解力が求められるようになります。そうして視野を広げていくと、最後は人生という事象にたどり着きます。それが読解力の到達地点です。
人生の読解力の鍛え方は勉強の読解と同じです。たくさんの種類の本を読み、問題を解き、文を書く。
「本を読む」のは文字通り読書を意味します。ここには社会の資料や理科のイラストのように、動画・アニメ・漫画・映画・音楽・芸術といったあらゆる文化が含まれます。
「問題を解く」ことに対応するのは体験です。体験を重ねて、読書の知識と体験を結びつけます。そして最後、「文を書く」に相当するのが想像力と思考力です。
勉強に必要な読解力と生活に必要な読解力は、人生に必要な読解力に到達するための階段の役割を果たしています。
(了)