To the mentors of the future

全世代の「教育力」を高める教育コーチのブログ

オンラインと双方向のコミュニケーション

 

かつてマネジメントと言えば、一人の上司が数名の集団に向かって一方通行で伝達するという姿が主流でした。しかし現在では、上司が部下と一対一で向き合い、コーチングの手法を使って管理や育成を行う「1 on 1」のスタイルに移行しつつあります。

 

 

これは集団から個へのパラダイムシフトの波が企業にも押し寄せている証であり、一方通行から双方向の人間関係を構築しなければならない合図とも言えるでしょう。

 

 

新型コロナウイルスパンデミックが始まった頃、社会は対面の代替案としてオンラインの移行を余儀なくされました。このとき、対面とオンラインの二項対立の構図が生まれ、対面肯定派・オンライン肯定派・対面否定派・オンライン否定派が混在しながら現状と戦っていたように思います。

 

 

しかし、水面下では集団から個、個から多様な個と急速な価値観の多様化が進み、集団を前提とした一方通行のコミュニケーションは弱体化の一途を辿っていました。上司が教師や親が一方通行で指示を言い渡し、従うか否かを突きつける旧来のコミュニケーションは、特に若い世代にとっては体罰に準ずるほどの嫌悪となっていました。

 

 

公平に、率直に、一対一で行う双方向のコミュニケーション以外は本心を明かさない。対面からオンラインへと構造の変化が起こっている間、コミュニケーションは一方通行から双方向へと急流に乗って静かに流れていました。

 

 

基準の座標軸は、対面かオンラインかではなく、一方通行か双方向かに移りました。多様な個をマネジメントするには、一方通行の対面よりも双方向のオンラインのほうがずっと向いています。

 

 

実際、わたしは一度も会ったことがない小学生を1 on 1のオンライン何年間も教えてきました。数回しか対面したことのない生徒も含めれば、その数はさらに増えます。

 

 

未就学児も双方向のオンラインで授業を行なっていますが、順調に学力をつけています。何がわかるか、わからないか。どこが難しいか、簡単か。それを対話で確認しながら進めるだけで、双方向のコミュニケーションは成立します。質問によって相手の意見や考えを傾聴し、その考えを認める。どんな年齢でも、オンラインであっても、たったこれだけのことを積み重ねていくだけで信頼関係は生まれます。

 

 

先の見えない不安定な現代において、最も価値があり、そして最も手に入りにくいもの。それは信頼関係です。双方向のコミュニケーションは信頼関係を得るためには欠かせない方法です。

 

 

今、0歳児とオンラインでコミュニケーションを取っています。満面の笑顔で手を振ると、同じような満面の笑顔を返してくれます。相手と同じ温度に合わせるのも双方向のコミュニケーションの大切なスキルですが、オンラインでも十分それは通じています。

 

 

(了)