To the mentors of the future

全世代の「教育力」を高める教育コーチのブログ

言葉を掲げる

 

会社名や商号、校名や屋号を依頼されることがあります。その際、クライアントの理念をヒアリングして、最良の未来の姿をイメージしながら名前を考えます。

 

 

また、企業ブランディングの一環として、フィロソフィやビジョン、パーパスやアクションを作成することもあります。かつての企業理念や社訓と呼ばれていたものが、欧米型のマネジメントの輸入によって衣替えしたものです。

 

 

近年の就活は企業が掲げるフィロソフィやビジョンを調べることから始まります。企業固有の言葉の端々に企業の価値観や姿勢が表れており、それを見極めることができるからです。

 

 

言葉は現在の状態を表す一方で、未来の自己の姿を含ませることもできます。企業のビジョンや個人の座右の銘に、「なりたい姿」を忍ばせることで言葉に磁力が生じ、その姿に引き寄せられていきます。

 

 

ボールを前方に投げて、そのボールを拾い、再び投げる。成長する組織や人間は、例外なくボールのような言葉を持っています。

 

 

単に表現したり、コミュニケーションとしての言葉ではなく、自己を高める言葉。その言葉を未来に向かって投げ、その言葉を自然に追いかけます。

 

 

その継続が自己の内面に奥行きを与え、言葉の投擲を繰り返すうちに、言葉そのものが洗練され、近すぎず遠すぎない場所に落下させることができるようになります。

 

 

先日、教え子の結婚式に出席した際、新郎と新婦の人となりを紹介する新婦のプロフィール欄に、「現状維持は衰退の始まり」というウォルト・ディズニーの格言が記されていました。

 

 

紛れもなく彼女の生き方はその言葉通りでした。十代の頃からずっと、現状維持を拒み、前へ前へと走り、いくつものステージを駆け上がってきました。

 

 

立ち止まれば後退、徒歩で停滞。しかし、動きではなく意識の速度であることが、運動との大きく異なる点です。疲労困憊の停滞もあれば、静かな休息の疾走もある。そう認識することによって、物事の見方も変わるでしょう。

 

 

未来に向かって繰り返し言葉を投げかけ、それを追いかけることによって、不安が萎み、余裕が生まれます。成長とは余裕を生み出す意識の変化ともいえます。そのために言葉を掲げるともいえます。

 

 

(了)