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感覚と論理の融合:ネーミングのプロセス

 

企業の商号や校名のネーミングの仕事を引き受けることがありますが、その度にネーミングの重要性を実感します。同じ言葉を扱うにしても、他の文章の仕事とは異なるアプローチで取り組みます。

 

 

たとえば社名のネーミングの場合、経営者から直接話を聞いたり、理念やフィロソフィや企業の歴史に関する資料を提出してもらいます。

 

 

その言語化された情報を、一旦、色や音のような感覚的で感情的な非言語化したイメージに変換します。そのイメージに向けて、見聞きした情報を理詰めで文字を絞り込んでいきます。

 

 

感覚的でありながら論理的なそのプロセスは、デザインに似ているかもしれません。文字の選択・意味・音、それらの組み合わせ。そのすべてにおいて相手が納得する論理的な根拠が必要です。

 

 

しかし、どれほど深い意味が込められているとしても、見た人の直感に訴えかけなければ、机上の正論と同じ。「名」を見た瞬間、感覚が先に反応するか、感情が揺さぶられるか。ネーミングとしての価値が問われます。

 

 

「名」に込められた認知的な意味は、言葉の響きや印象で体現することで相乗効果を生み出し、非認知的なメタメッセージを発します。

 

 

社名や校名を一瞥した際、文字から放たれたる漠然とした色や音のような印象に瞬時に感情が揺さぶられ、ゆっくり意味が追いついてくる。ネーミングもデザインも「理性と感情のパズル」だと言えるかもしれません。

 

 

(了)