To the mentors of the future

全世代の「教育力」を高める教育コーチのブログ

褒めることの大切さ

先日、ある企業の管理者研修において、社長や役員を含めた管理者の方々に、身近な人の長所を十箇所見つけて褒めるという課題を出しました。その際、相手がその長所を自覚しているかどうかを確認するという条件もつけました。 一見すると、上司が部下を「褒め…

人生に必要な読解力

読解力は大きく3つに分類できると考えています。ひとつは「勉強に必要な読解力」です。国語や数学の文章題を読み解く力と言い換えることもできます。ここには社会の資料や理科の実験のイラストも含まれます。 二つ目は「生活に必要な読解力」です。新聞やネ…

エヴァンゲリオンと文学と人間力

かつてアニメも映画も漫画もなかった頃、人々は本によって新しい世界を知りました。中でも「人間とは何か」という暗黙の問いに小説という形で答えようとしたのが文学でした。 文学は人間を描いています。この世に生を受け、数十年後に去る人間という得体の知…

長編小説のような

今春、幼稚園から教えてきた二人の生徒が大学合格を果たしました。ひとりは私大の医学部、もうひとりは最難関私大の経済学部です。 改めて数えると、かれこれ13年以上教えてきたことになります。幼稚園児のときの無邪気で眩しい饒舌さは、やがて思春期に差し…

勉強とご褒美とリーダーシップ

3月に入り年度末が近づいてきました。今年度の反省を踏まえ、新年度から気持ちを新たに取り組もうと考えているご家庭も多いことでしょう。 どうすれば勉強ができるようになるのかという質問を受けます。小学生は家庭から、中学生は家庭と本人が半々、高校生…

反省と成長の関係

人は成長するために反省します。自分の行動を振り返り、軌道修正を行い、動機づけを行う。その一連の流れを反省と呼びます。それは自分自身に対する教育です。 しかし、本当の教育は「教える側」が「教わる側」の枠外にいなければ成立しません。生まれてから…

ギフテッド・チャイルド

今年コミックス全世界累計発行部数が5億部を突破し、ギネスの世界記録も更新した「ONE PIECE」において、冥王レイリーがルフィに修行をつけるシーンがあります。 その冒頭、レイリーは「覇気」について「世界中にすべての人間に潜在する力であるにもかかわら…

Starting from one on one relationship

組織というと何十人、何百人という大人数を想像しがちです。しかし、ある目的や役割を持った複数の人々の結びつきも組織に数えられます。そこには学校のクラスはもちろん、サークルや部活、家族も含まれます。夫婦ふたりであっても変わりません。 リーダーと…

共感と鼓舞

Altiseekは企業研修やグループコーチングを除き、「対人」の事業は1 on 1の形態で行います。 その形態はティーチング・コーチング・コンサルティングの三つに分けられます。いずれも「相手も他人も知らない相手を見つける」という「ジョハリの窓」の「未知の…

「尊敬できない上司」が「尊敬できる上司」をつくる

前回の続きです。 上司は職務上のリーダーです。職務上であってもリーダーであることに変わりはない以上、次の四つの条件が求められます。 ①規範となる②羅針盤となる③調整する④鼓舞する ①を土台として、他の三つが成立します。①がなければ他の三つは宙に浮い…

どのようにして「尊敬できない上司」に対処すべきか

マネジメントの父と呼ばれるドラッカーは「非営利組織の経営」という著作の中に次のような言葉を残しています。 * * * 組織のリーダー選ぶには何をみなければならないか。「integrity」である。重要なことは、わが子をその人の下で働かせたいを思うかであ…

「自分に合った現実」を生きる

現実の対義語は理想です。心身の健康を保ちながら生きるためには、その二つのバランスの取りかたも大切です。 しかし、現実に対応するのが精一杯で、理想を描く余裕すらない人も多いことでしょう。 自分に合った理想を探すことができなければ、自分に合った…

ウクライナ危機が子育てに及ぼす影響

連日、映画と見紛うようなウクライナ侵略戦争の報道がなされています。ここにきて、「ジェノサイド」と呼ばざるを得ない予想もしなかった現実があらわになりました。 本来、戦争とは軍と軍の戦いであり、民間人を巻き込むことは許されません。戦争にもルール…

自分自身を子どもに語るという自己肯定感

今、自分がいる時間。未来、自分がいる時間。 未来が今よりずっと高いところにあるとすれば、今と未来をつなぐ線は坂道のような線になります。 自分は坂道の上に立っている。その坂を上るために自分を奮い立たせなければ、頑張らなければ。そうやって無理や…

生きづらさと確かなもの

すこし前、子どもの不登校が増加しているという記事に目を通しました。「生きづらさの低年齢化」と呼ばれるような現象が広がっており、小学生でも同級生や教師との人間関係に悩み、生きづらさを感じる子どもが増えているとのことでした。 「生きづらさ」とい…

生産的共感

五臓六腑に染み渡るように納得する。それを「腑に落ちる」と表現するならば、それが「理解の最終形態」なのでしょうか。 近年、共感の重要性が注目されています。企業研修を行う際、わたしは共感について必ず触れるようにしています。今や共感なしにマネージ…

主体的に生きる時間

主体的に生きるとは、自分の意志に従って生きることです。しかし、自分の中には「二人の自分」がいます。 ひとりは価値観から指示される自分。もうひとりは、ありのままの自分。どちらの意志に従うかによって、主体的に生きるという意味は180度変わります。 …

大人の人間的成長は子どもの学力的成長に等しい

昨年は企業のコンサルティングや管理者研修、個別コーチングの機会がさらに増えた年となりました。気づけば「成長の仕方を教える仕事」として、幅広い年代や属性の人々と関わる機会が多い一年でした。 その中には、起業を考えている人々も少なからず含まれて…

【第17回 子育てライフコーチング教室】

【質問】 幼児の子どもを持つ母親です。躾と押し付けの線引きがまだよくわかりません。どこからどこまでが躾で、どこからが親の期待の押し付けなのか、教えてください。 【回答】 ご質問ありがとうございます。 躾には2種類あると考えています。ひとつは、「…

子どもの躾と大人の思い込み

現代の子どもたちは、生まれたときからスケジュールに追われています。戦後の高度成長以降に都市部で育った親もそこに含まれるとすれば、幅広い世代がスケジュールとともに育ってきたと言えるでしょう。 定められたスケジュールをこなしている毎日の繰り返し…

礼儀という盲点

正論はいわば自分の限界とも言えるでしょう。 自分に関心があることだけを掘り下げるのに意識と時間の大半を費やし、他者が考えていることに想像力を巡らせなかったことで、自分自身の正論によって縛られてしまっている。ある角度からはそのように見えます。…

昭和型学力の終焉

ーー学力とは学ぶ力。学校時代の成績を上げるためだけの力ではなく、仕事のスキルを高め、組織をマネジメントし、社員を教育する力。より円滑な日常を送るための知識を得る力。より善い人生とするために、経験から教訓を得る力。 人生100年時代への突入とと…

人を大切にする感覚

今年の3月31日、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案」が参議院本会議で可決され、成立しました。 この法律によって、クラス人数は5年間かけて計画的に40人から35人に引き下げられることになりました。約…

塾選びと先生選び

仕事柄、塾選びは最も多く受ける質問のひとつです。子育てライフコーチング教室で書くか、このブログで書くか迷いましたが、この機会にまとめてみようと思いました。 塾選びはお気に入りの料理店選びにも似ています。CMや広告で有名な大手チェーン店にするか…

【第16回 子育てライフコーチング教室】~「子どもへの『怒り方』を教えてください」~

【質問】 「子どもへの『怒り方』を教えてください」 【回答】 ご質問ありがとうございます。 喜怒哀楽は人間の基本的な感情ですから、怒りを取り除くことはできないと思います。特別な修行によってできる方もいらっしゃるかもしれませんが、例外です。 そう…

心が身軽な自分

「あなたはどんなふうになりたいですか?」 その質問に即座に答えられる人は思いのほか多くありません。しかし、 「あなたはどんなふうになりたくないですか?」 という質問に対してはすらすら言葉が口をつくのではないでしょうか。 先の読めない時代、従来…

【第15回 子育てライフコーチング教室】~「子どもと心の距離が開かないようにするためにはどうしたらいいでしょうか」~

【質問】 「はじめまして。小学2年生の子どもを持つ母親です。子どもが小さいときは親の言うことをよく聞いていたのに、大きくなるにつれて距離が開き、成人しても変わらないという話をあちこちで耳にします。そうならないために、これから一番気をつけるこ…

人間関係が楽しくなる・日本人向けコーチング入門講座(3)

「人間関係が楽しくなる」ために必要なことを探していくと、「温かさ」であるというシンプルな解答に行き着きます。 温かい表情や態度には正論ほどの説得力はありませんが、共感力に満ちています。この共感力と人間関係の楽しさは密接に結びついています。 …

人間関係が楽しくなる・日本人向けコーチング入門講座(2)

前回、コーチングは海外から輸入したマネージメントの新しい方法論であると書きました。 しかし、日本には「コーチング」のようなことができる人が存在しなかったのかと言うと、そんなことはありません。むしろ昔の人の方が「コーチング」が上手だったのでは…

人間関係が楽しくなる・日本人向けコーチング入門講座(1)

最近、「コーチングを指導して欲しい」という依頼が増えました。ビジネスとスポーツを入り口としてコーチングという考え方が輸入され、教育や子育てにも浸透してきたようです。 特に企業の管理職においてはメンター制度と同様、コーチングスキルの導入が進ん…