To the mentors of the future

全世代の「教育力」を高める教育コーチのブログ

子どもの側にいるのは誰か

 

家庭コンサルティングにおいて最も要望が多いテーマは子育ての方法、つまり「子育ての最適解」についてです。

 

 

子育ては「共通言語」としての普遍的な方法の上に、我が子や家庭に合った「固有言語」を紡いでいくものです。発達心理学・社会学・大脳生理学などの子育てに必要な基本的な知見を学び、我が子の資質や性格を踏まえながら、フィードバックを繰り返して「最適解」を創造します。

 

 

しかし、「子育ての最適解」に到達した家庭が、思い通りの子育てを行うことができているかどうかと言えば、必ずしもそうではありません。「親の思い通りに子どもは育たない」という共通言語を獲得した後に描く子どもの将来のビジョンは、子育てにおいて不可欠な羅針盤となります。それは我が子の命名と同じかそれ以上に重要な意味を持ちます。

 

 

子育てのビジョンがイメージから言語化できるようになると、親子でビジョンを共有できるようになります。親がすべきことがより一層明確化し、子どももその言葉で鼓舞されます。親の視座が一段高くなり、「家庭の中の子育て」から「社会の中の子育て」を意識するようになります。他者と関わり、社会の中で固有の能力を発揮して居場所と生きがいを見つけていく手助けが子育てであると実感します。

 

 

そうすると、「子どもの周囲にどのような人間を配置する必要があるだろうか」という点に気づきます。「むしろ、子育ての最適解とは、子どもの周囲にどれだけ我が子の理解者を配置できるかどうかではないのだろうか」という考えに至ります。

 

 

いかに周到に子育てに心を配り、賢明な子どもに育ったとしても、心ない人間や悪意のある人間と同じ場で同じ時間を過ごすことになれば、子どものQOLは著しく低下します。

 

 

「子育てとは環境である」という結論に辿り着いた家庭は、子育てを環境を整えるひとつの手段であると位置付け、家庭だけの子育ての完結を拒みます。その気づきを得た親は、子どもと関わる人間の数と質をつぶさに観察し、運任せにすることなく、子どもにとっての善き協力者・善き理解者・善き伴走者を子どもの環境に組み込むために全力を尽くします。

 

 

子どもの側にいるのは誰か。それは「子育ての最適解を導くための最優先の視点」だと言えるかもしれません。

 

 

(了)