2018-01-01から1年間の記事一覧
以前、介護の仕事に従事している教え子から、こんな話を耳にした。 「人気があるおじいちゃんやおばあちゃんって、奪い合いになるんですよ。職員が世話をしたがります」 「そうなんだ」 「はい、認知症は進んでいるのですが、人柄がすごく良くて、お世話をし…
南青山の児童相談所建設問題が波紋を広げている。建設に反対している方々の言い分はさまざまだが、その中には「自分たちは一流のコミュニティに属しているのだから、自分たちも一流である」という意識も透けて見える。 何もこれは南青山に限ったことではない…
私は招待制の子育てコンサルティングのグループを主宰しており、若い親やこれから親になる方々に対して、定期的に子育ての知識を発信している。 私のブログや紹介する幼児教育の方法について、個別の質問も受け付け、ひとりずつ返事をしている。その質問から…
「最近、子育てが下手な親が増えたと思うのですが、先生の見解を聞かせてもらえませんか?」 そんな連絡が知り合いの教育関係者から届いた。保護者を前に子育ての話をすることになったという。そこで私の見解を聞きたいとのことだった。 印象だけで下手だと…
私が依頼されるコーチングは、ライフコーチングであることが多い。それは一言でいえば「生き方のコーチング」であり、「人生の問題を解決するコーチング」である。ライフコーチングはアメリカでは主流のコーチングだが、日本ではまだまだ馴染みが薄い。その…
誰もが何らかの才能を持って生まれてくる。この言葉を素直に信じる人々はSMAPの「世界に一つだけの花」によって広く知れ渡った「オンリーワン」に対する期待と憧れをそこに重ねる。 一方、その言葉を何者にもなれない人の慰めと揶揄する人々もいる。ギフトと…
(前回からの続き) 「まず相手の部屋の本棚を見ることでしたよね?」 本棚は当人が住んでいる世界の縮図である。気が合う関係を求めるのであれば、その感覚に従って繋がればよい。しかし、持続的で緊密な高め合う関係を求めるのであれば、相手が読んでいる…
以前、とある教え子が彼氏ができたことをわざわざ報告しに来てくれたことがあった。彼女が高校だった頃、彼氏ができたら私に報告すると一方的に約束してくれたことを思い出し、そのいかにも彼女らしい律儀さに思わず口元が緩んだ。 「先生が教えてくれた判別…
女子生徒だった教え子が、彼氏や婚約者を連れて会いにきてくれることがある。その相手の話し方や言葉にはその人の考え方や物事の捉え方が透けていて、それを丹念に覗き込むと教え子の未来の姿がぼんやり見える。 いわゆる学校優等生と呼ばれる生徒がいる。教…
ある山頂を目指して登っている。山麓は鬱蒼とした森林で、十分な日光も届かず、星の位置も確認できない。当初思い描いていたルートから外れて道に迷い、自分がどこを歩いているのかさえわからない。たまに木々の隙間から覗く山の頂きに向かって、ひたすら歩…
私には恩師と呼べる人がひとりだけいる。留学前に英語を教わったご縁で、帰国後もずっと連絡を取らせてもらっている。 二十歳までアメリカで生活されており、UCLA Berkeleyを卒業されてから日本に住まわれている。70歳を過ぎた今でも、cute以外には形容でき…
昭和初期、洗濯板で洗濯した人の誰が、現代の全自動洗濯機を想像できただろうか。リンドバーグの時代の誰が、100年も経たないうちに空の交通渋滞が起こるほどの航空機が飛び交うと想像できただろうか。 現代もやがて、昭和初期になる。「未来の現代」に生き…
だいぶ前の話になる。 ひとりの小学生の女の子をお預かりした。最初は人見知りで私の顔も正視できなかったその子は、しだいに打ち解けて、積極的に身の回りのことを話してくれるようになった。 豊かな感受性を目元に湛えた子で、とびきり嬉しい話をするとき…
「メンター資質を持つ人」は何が違うのか。 その問いに一言で答えるとすれば、「相手を変化させる『きっかけ』について常に考えを巡らすことができるかどうか」だろう。 教える仕事に従事する人を例に挙げたい。生徒に何かを教えるとき、メンター資質のない…
ネットや書籍など、巷にはたくさんの情報が溢れている。激流にたとえるより他ない量があちこちで流れている。 その視点もさまざまだ。一つのテーマについて、正反対の見解がそれなりに説得的に論じられている。一体どの意見が「正しい」のだろうか。多過ぎる…
学生時代は「答えのある目の前の問題数」を他者と競い合う。他者の正答数の平均値と、自分の正答数の距離。偏差値はそれが数値化されたものだ。 「目の前の問題」は「点」だ。その問題を解くことにどんな意味があり、どんな未来と繋がっているのか。そんな疑…
学生時代、偏差値を全く気にしなかったという人はどれだけいるだろう。偏差値は平均からの距離。横並びの同調圧力が強い日本において、偏差値は母集団における自分の学力的位置を確かめる手段以上の意味がある。 与えられた問題をどれだけ解けるか。その正答…
東京医大の裏口入学問題及び女子減点問題が社会に相当な衝撃を与えている。これは特定の大学に見られた特殊な事例ではなく、他の大学や、ひいては社会の至るところで行われている「不公正」の氷山の一角ではないかという疑念も急速に広がり始めている。 長年…
杉田議員が新潮45(8月号)に寄稿した文が波紋を呼んでいる。この問題をメンターの視点でどのように考えたらいいかという質問を受けた。 そこで改めて全文に目を通してみた。必要以上に権利を煽って社会を混乱させるリベラル系メディアに対する不信感が根底…
「直観力」は「紳士」にたどり着く。そのような結論が導かれるとしたら意外だろうか。 イギリスの劇作家として高名なオスカーワイルドは、かつて紳士について次のような言葉を残している。 A gentleman is one who never hurts anyone's feelings unintentio…
幸運にも、あなたがこれまで「明哲なリーダー」に出会っていたと仮定しよう。「明哲なリーダー」とは、あなたに「劇的な変化のきっかけ」を与えてくれた人のことだ。 それは多くの場合、会社の上司や学校の教師や先輩、または親や親類などの上下関係に見られ…
言葉はコミュニケーションの核心である。それは言をまたない。 言葉は情報・感情・思想の三つの層によって構成されている。表層は情報、中層は感情、深層は思想である。その三つの層がミルフィーユのように重なり合っている。その厚みは人によってちがう。 …
メンターが相手と向き合う際、相手が抱える鉛のような感覚を鋭敏に察知することがあるかもしれない。後ろ向きともネガティブとも違う。美味しそうに茹で上がったパスタの中の芯の堅さにも似た感覚と表現すればいいだろうか。 日本人は完全に茹で上がったパス…
リーダーに最も不可欠な資質とは何か。エグゼクティブコーチングの際、しばしば尋ねられる典型的な質問と言ってよい。普通のコーチングにおいても、上司や部下の関係・夫婦関係・恋愛関係・教え手と生徒の関係のように、一方がもう一方を精神的に牽引する状…
エグゼクティブコーチングの具体例について掘り下げることは、同じような問題を抱えている人々だけでなく、そのコーチャーにとっても有益である。 個別具体的な事例の中に潜む普遍性を抽出し、それを自分に当てはめる。これは問題解決能力の基本でもある。他…
「大らかさ」を養う。それはHSPの人々が「高度で鋭敏な感受性」を武器とし、勝敗を至上の価値とする競争社会で「克ち残る」ために不可欠なことだ。競争社会において鈍い感性は、「鈍感力」という言葉に象徴されるように「強さ」とみなされる。手を加えない「…
HSPの人々は言葉にとても敏感だ。この世界の尺度となる定規の目盛りを、HSPの人々は細かく刻む。メートル単位の定規しか持たない人間と、センチ単位の定規を持つ人間では、世界の見え方や感じ方はまるで違う。 メートル単位の定規しか持たない人間にとって、…
高度で鋭敏な感覚。 これは普通の人々が感じない情報を瞬時に大量に察知できることを意味する。その感覚(Highly Sensitive)を持った人(Person)はHSP(Highly Sensitive Person)と呼ばれるが、その感覚を普通の感覚の人々(非HSP)に伝えることは不可能…
高度に鋭敏な感覚を持つ人はHSPと呼ばれる。その人々をHSPと認識して接した経験がある人ならば、次のことに気がついたかもしれない。 HSPの人々は心で考える。一方、HSPではない人々を非HSPと呼ぶならば、その人々は頭で考える。そう感じた人もいることだろ…
この世界は「鈍感な8割の人々」と「敏感な2割の人々」で構成されている。その「敏感な2割の人々」は、ある心理学者によってHSPと名付けられた。 HSPとは「Highly Sensitive Person」の頭文字を取った言葉であり、「高度に鋭敏な人々」とも「非常に敏感な…