To the mentors of the future

全世代の「教育力」を高める教育コーチのブログ

子育てというステージ



物事に例外はつきものとはいえ、子育ての悩みに関してはその例外かもしれません。子育ての悩みががない家庭は相当なレアケースと言えるでしょう。

 

 

先見の明があるリスク回避能力の高い家庭であっても、子育ての悩みを完全に排除するのは至難の業。人間万事塞翁が馬の諺の通り、思わぬ角度から子育ての問題は降りかかります。

 

 

家庭コンサルティングにおいては、リスク回避と問題解決の両輪でアドバイスします。しかし、最初は前者にはあまり重きを置かず、必要最低限の範囲でしか触れないことにしています。

 

 

リスク回避は未来をイメージすることと同じです。経験していないことはイメージしにくいだけでなく、イメージできないことは腑に落ちないため、リスク回避の方法をうまく活用できることの方が少ないように思います。

 

 

もともとリスク回避が上手な家庭であれば、そのリスク回避の方法を洗練させる手助けに時間を割きます。その方が問題解決力を高めるよりもはるかに効果的だからです。仮に全て回避できなくても、その網をすり抜ける問題は労せずに解決できる大きさがほとんどです。

 

 

そうなると、多くの家庭コンサルティングのケースでは、問題解決力に焦点が当てられます。とはいえ、座学だけでは問題解決力を高めることはできません。個別の問題解決という実地を重ねる必要があります。

 

 

個別の問題を解決することと、問題解決力を高めることは似て非なるものです。個別の問題の原因を分析し、解決策を見つけ、適切なフィードバックを行い、それを学びとして家庭に還元する。その繰り返しによって家庭の問題解決力は向上します。

 

 

実際は、子育ての問題の存在に気づき、その問題を解決しようとする意思があるだけで、八割がた解決しています。悩みから抜け出せず、常に不安を抱えている家庭は、問題の発見力と認識力が低い点で共通しています。

 

 

まず問題の存在に気づかない。気づいていても気づかないふりをしている。どこか気づいていても向き合う覚悟に欠ける。問題を過小評価し、大したことがないと軽く考えるか、過剰に前向きに上書きする。

 

 

そのような家庭は悩むことを頑張っていると錯覚していることが多いように感じます。こんなに悩んでいるのにどうして解決しないのだろうと更に悩みが深まります。

 

 

その山を乗り越えて、問題発見力と問題認識力が高まった頃合いを見計らい、リスク回避の方法を指南します。この先に訪れる可能性を示し、その解決策について話し合います。

 

 

子育ての悩みを乗り越えるには、ひとつずつ丁寧に問題と向き合い、理性的に解決策を考えて実行するだけです。それはつまり、親が自分の不安と悩みと勇敢に向き合い、自分自身と誠実と向き合うことに他なりません。

 

 

子育てというステージは、親が子どもの力を借りて人間的成長を遂げるため、自分自身と向き合うステージと言えます。

 

 

(了)