【質問】
「競争心を煽る子育ては正しいのでしょうか?」
【回答】
ご質問ありがとうございます。この質問に答える前に、まず「正しい」という意味について確認させて頂ければと思います。
この場合の「正しい」は「子育ての道理にかなっている」と定義します。「道理にかなう」というのは「本質を突く」ということです。
したがって、今回の質問は「競争心を煽る子育ては、子育ての本質を突いているのでしょうか?」と読み替えて回答致します。
他者に負けたくないという気持ちは、物事をやり抜く上で強い動機となります。
ーー友だちに勝ちたい、だから頑張る。
ーーライバルに負けたくない。だから努力する。
その自発的でひたむきな気持ちを否定することは誰もできません。しかし、周囲がそれを焚き付けるとなると、話は変わってきます。
競争の本質は「自分自身と競う」ことにあります。他者との競争を通じて、最後は「自分自身と競う」という競争の本質に到達します。
自分自身に克つこと。その反射的結果として、他者に勝つ。これは「ある分野で一番になりたい」や「勝ちたい」という気持ちと矛盾するものではありません。その決意が強固であればあるほど、自分自身に克つことを覚えなくてはならないからです。
そうした本質を理解せず、他者との競争心を過度に煽ることは、道理の流れに逆流してしまうことになります。道理に逆らった子育てはうまくいきません。
他者との勝敗にこだわりすぎるあまり、それを努力の原動力とすることに慣れてしまうと、周囲の人々の動向に気が散り始めます。
それはやがて「周囲の目」や「空気」を価値観や行動規範に取り込み、虚栄心と他罰的な思考に翻弄され、優越感と劣等感に軸足をさらわれながら生きていくことになってしまいます。
実際、心の余裕を失った大人はあちこちにいます。他者との勝敗を気にしすぎるあまり、自分の人生を生きていない。心の中に鬱屈した雨雲がいつもさしかかっている人々。
大切なのは自分の人生を生きることです。そのために自分自身に全力で集中する。それが人生の道理です。道理を外した子育てはうまくいきません。
弱い自分に克つことができれば、強い自分に近づくことができる。それを繰り返していくうちに、周囲から見れば「誰かに勝っている」という状態に到達します。
そのときはすでに、本人には勝ち負けなどどうでもよくなっています。
その意味で「勝者」とは、自分に克つ爽快感に酔いしれながら、その喜びを求めて脇目も振らずにまっすぐ走っていく人を指します。
落ち着いて、焦らず、物事の道理を確かめることから始めてください。
(了)
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